戦争は女の顔をしていない
今年のノーベル文学賞受賞者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
彼女の代表作「戦争は女の顔をしていない」が届きました。
出版社はもう増刷する権利も販売する権利もないとの事で、その前に各所に最後の在庫出荷をしたんでしょうな。
たまたま某オンラインショッピングを見たら、10月末の入荷予約で買えました。
ラッキーです。
流し読みしたのですが、1人1人のインタビューは短くたくさん載っています。
それらはゲームや戦記、映画で見るような華々しいものではなく、あるのは1人の女性の戦争の記憶です。
「俺は祖国を守るが、スターリンを守る気はない」と
それを聞いた女性は、今まで生きていてそのような言葉を聞いた事がなかったからぎょっとしたそうです。
その後寝てしまい目覚めると、その少佐は消えていました……たぶん列車を降りたんだろうと言っています。
(もしくは秘密警察に降ろされたかは不明)
他にも軍規を犯した男性兵士を政治委員が見せしめのため処刑するのですが、女性兵士はそれを見て単純に恐怖を感じたようでした。
その女性はその後、生理が来て「私怪我をした!」と驚き看護長が父のように教えてくれたそうです。
生理が来ていない女性までも動員するとは……
彼女は戦争が終わってからも15年も悪夢を見続けたそうです。
目が醒めると、自分はどこにいるんだ?あそこ(戦場)にいるのか?ここにいるのか?
最後に流し読みで、つい目が止まり一番気になったエピソードを紹介します。
とある女性兵士のインタビューです。
戦場で一番怖いものは?と著者は聞いたようです。
それに対し、その女性は「死が一番怖いと言うと思ってるんだろ?」と答えます。
その女性が一番怖かったのは男物の下着を履くことだったそうです。
前線で戦う女性兵士は4年間、男物の下着を履いていたそうです。
祖国のために覚悟を持って戦ってるのに、男物の下着を履くなんてみっともない…と
この答えを聞いた著者は泣いたようです、が答えている女性はどうして笑わないんだい?どうして泣いているんだい?とそれで終わります。
著者はどうして泣いてしまったのでしょう?
この女性の青春時代があまりに残酷な4年間だったからか、インタビューを受けた女性の精神状態(笑いながら話す)にショックを受けたのか、そこまでは書いていません。
ですが流し読みした程度ですが、この本は確かに評価されるべき本だと思いました。
総力戦という戦争の非日常さ、残酷性、女性までも動員されるその異常性
その全てがこの本には書かれているような気がします。
- 作者: スヴェトラーナアレクシエーヴィチ,三浦みどり
- 出版社/メーカー: 群像社
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
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- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2009/09/08
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