読書と仕事と病気と、まったりとした日々

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ユナイテッドステイツオブジャパン読了

ユナイテッドステイツオブジャパンの上下巻読了。
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この作品を知ったのはアメリカで出版された頃だったと思います。
数ヶ月前に日本でも話題になっていた記憶があって
先々週だったと思うのですが、10月に発売されたばかりと知って「あれ?まだ発売されてなかったんだ?」と思いつつ購入しました。

って事で感想を
まずこれを「21世紀版高い城の男」って思って読むと敷居が高くなっちゃいますね。
(著者もディックに捧げる文書いてるから仕方ないけど)
明らかに意識して書いてるなと思う部分は結構ありましたが、ディックの作風とは離れてます。
それ抜きにして読むと非常に面白い作品だと思います。

ストーリーは現実より遅く対米戦争を開始した日本軍と同時に北米に侵攻を開始したロンメル将軍率いるドイツ軍。
この2カ国の攻撃は最終的に日本による3発の核魚雷による攻撃でアメリカの降伏で終わり、日独は勝利し日本が占領下におきロスアンジェルスを首都とし西海岸を中心とした「日本合衆国」とドイツが占領した東海岸側とアメリカは東西に分裂します。
そして日本軍はその占領を巨大ロボにより行っています。
ドイツ側の設定や国名はあまり出てこないので詳細は不明ですが…

日独に分裂されたアメリカ、これは仮想戦記読む方なら結構ありふれた新鮮味のないテーマなんですが、キャラが皆立っていてそこが活きています。
肥満だがプログラムに関しては才能があるが女性遍歴が酷く日和見主義者(昼行灯?)な主人公。
純血な日本人じゃないが皇国に絶対的な忠誠を誓う特高の女性課員。
この2人のコンビが良い具合に出来上がっていて飽きを感じさせないです。
世界観はあまり言及されていないが日本は朝鮮戦争に参加し現在はベトナム戦争中の模様。
その場合、北朝鮮北ベトナムを支援するのはドイツですかね?
しかも現実のベトナム戦争より長期化しています。
そしてドイツは現実のソ連同様アフガンに侵攻した模様です。
逆にこの場合、ムジャヒディンを支援するのは日本?
その辺も詳しく書いてくれるともっと楽しめたかもしれないですね。
あとこの作品を楽しめたのは翻訳が良かったからかもしれないです。
何てったって巨大ロボを操るのが関西弁を話す女性パイロットなんて最高じゃないですか!

前評判で拷問やら糞尿の描写がきついと結構書かれていたから、心配していたけど全然大丈夫。
こんなの他の…極端な話「慈しみの女神たち」に比べると軽いです。
(比較対象を慈しみの女神にすると全てのグロい作品が軽くなりますが苦笑)
その慈しみの女神たちという作品は「文学界における最悪の性描写賞」だったかな…?(うろ覚えなんで)という賞を受賞したアインザッツグルッペンを題材にした物で、それを以前読んでいたので耐性はある程度付いていました。
それと個人的に思ったのは佐藤大輔の作品に雰囲気が似てるような気がしますね。
(あっちもアメリカはボロボロですが)
なんですかね……佐藤大輔の作風である「皮肉を感じさせない皮肉」というか「嫌味を感じさせない嫌味」って言うのかな……?
読んでいて心地良い感じ(心地良い感じはディックの作品にもあって繋がる部分もあると思いました。

とここまでが上巻の感想です。

下巻に関して書きますと、上巻を読んだ時の衝撃さ…初めてフィリップ・K・ディックの作品(流れよ我が涙、と警官は言ったが初めて読んだ作品でした)を読んだ時やホーガンの星を継ぐものを読んだ時の衝撃さは上巻には確かにあったのですが、下巻にはありませんでした。
これは上巻読んで、下巻読むまで1週間あったからかもしれないのですが、何か物足りない感じを受けました。
でもまあ全体的に見ると面白かったですね。
今年読んだ本でベスト1か2だと思います。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下 (ハヤカワ文庫SF)


高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)



流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)

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