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南北戦争 49の作戦図で読む詳細戦記 読了

南北戦争 49の作戦図で読む詳細戦記」を読み終わりました。
49の戦いをこれでもか!ってくらい詳細に、なおかつわかりやすくアメリカ海軍兵学校の講師である著者が学生向けのテキストとして書いた本です。

アメリカのこの時代の歴史は今ひとつ分からないんですが、分からなくても読める1冊でした。
僕は南北戦争の歴史はオスプレイ社の本を2冊、それぞれ北軍と南軍について書かれた本を読んだことある程度と、映画「グローリー」程度の知識しかありません。
そもそも原著の読者は当たり前ですかアメリカ国民であり、海軍兵学校に進む程の愛国者なんでしょうから、わかっていて当然なんでしょうな…政治的背景を最小に抑えて軍事的事実のみを書いています。

この辺りの時代から現代戦の基礎が生まれ始めたのは知っていましたが、戦争後半になると塹壕戦になっていったのには驚きました。
この時代に、塹壕の重要さがある程度認識され始めたんでしょうね……
それと広大なアメリカ大陸で行われたため、大軍が何度も何度も各地で大きな会戦を行い、数万の歩兵が突撃し騎兵が機動戦を行う、その光景は第一次大戦を彷彿させるもので文章は淡々としていますが、戦況図が載っているため迫力のある戦いに興奮しました。
これは面白い!

南部連合の首都リッチモンドだけじゃなく、アメリカ合衆国の首都ワシントンでも戦闘が行われていたとは知らなかったです。
絶版なのでプレミアで3000円ほどで買いましたが、安い買い物でしたね。

南北両軍の将官クラスには、後々の第二次世界大戦でアメリカの戦車の名前の元となった人物が多く、いずれも名将揃いです。
リー、グラント、シャーマン等々……
その他にも名前だけは聞いたことがある名将が数多くいて、その人物たちのエピソードも交えて書かれているので読んでいて飽きさせません。

読んでいて僕が好きになったのは、第一次ブルランの戦い(1861年7月21日)で数に勝る北軍が南軍を撃破していく中、唯一指揮下の部隊が乱れず「石壁」のように立ち平静に指揮を取ったトマス・J・ジャクソンです。
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彼はこの戦い以後「ストーンウォール・ジャクソン」として、南軍の司令官リーの右腕として活躍しました。
他にも、もう一つあだ名があったそうで、騎兵のような進軍スピードだったため北軍からは「徒歩の騎兵」と呼ばれ恐れられたそうです。
この本の翻訳者のあとがきによると、そのあだ名「ストーンウォール」は、幕末に幕府がアメリカに発注しその後、明治新政府になってから引き渡された「甲鉄艦」の元々の名前でもあったそうで日本とも少しですが関係があるんですね……知らなかったです。
いやー久しぶりに面白い本を読んだ!

南北戦争―49の作戦図で読む詳細戦記 (学研M文庫)

南北戦争―49の作戦図で読む詳細戦記 (学研M文庫)