読書と仕事と病気と、まったりとした日々

読んでる本や読んだ本の感想や病気の日々の事をのんびりと書いていきます

正しい?正しくない?

今年は戦争終結から70年です。
そのためか色んなメディアで特集が組まれたり、昔映画化されたノンフィクション本の「日本のいちばん長い日」がリメイクされたり
アナログウォーゲーム業界ではベルリンの戦いのゲームや大東亜戦争を題材にした作品を出したりしています。
早川書房からはバルジ大作戦の原作者トーランドが書いた名作「大日本帝国の興亡」も再販され始め、これまた名作な山岡荘八の「小説 太平洋戦争」も講談社から再販しました。


僕も結構前から、とある本を少しずつ読んでいます、それは「沖縄 日米最後の戦闘」です。
アメリカ陸軍省が編集した沖縄の戦いの公刊戦史の日本語訳です。

沖縄―日米最後の戦闘 (光人社NF文庫)

沖縄―日米最後の戦闘 (光人社NF文庫)


正直、訳は酷いです。
自走砲が自動操縦砲になっていたり、スナイパースコープをスニッパースコープと訳していたり、あまりに誤訳が多すぎます。
ですが、この本は感情的に書かれず、沖縄の戦いを純軍事的に書かれていて、アメリカ側はもちろん、日本側の情報もしっかり書かれていて非常に優れている本です。

我々日本人が書くと、どうしても何かしら感情的に書いてしまいます。
沖縄の方達からしてみたら、当たり前の事でしょうし、それは仕方ない事です。
ですが、その時代に生まれなかった僕を含む若者たちは沖縄の戦いを教科書、ドキュメンタリー、戦争体験者の声、といった何かしらのフィルターをかけて知り、戦争=悪もしくは戦争=正義と叫ぶ方が大勢います。
何も僕はそれらが悪いとは言いません。
僕は以前も言いましたが、個人的には戦争には反対ですし、憲法の改正にも反対です。
ですが、そろそろ我々はあの戦争を「正しい」「正しくなかった」という事を「何も考えず」に叫ぶ以前に議論すら許されない世の中から脱却すべきだと思います。

以前、僕は「戦争は人間的な営みである」という宗教学の助教授が書いた本を読みました。

戦争は人間的な営みである (戦争文化試論)

戦争は人間的な営みである (戦争文化試論)


その本によると、戦争というのは全てが悪ではなく、家族や恋人や友人を守りたいという希望や愛の上で成り立っているとの事です。
確かにそうです。
相手を憎くて殺したいと思って戦争をしている人は確かにいるでしょう。
ですが、それは少数派であってほとんどの人たちは希望や愛を持って、戦っているんだと思います。
友人、家族、恋人、そして自国民や国を守りたくて
戦争終結70年、平和平和と叫ばれていますが、それは一部の国だけであり世界では未だに戦争が行われています。
今こそ我々は戦争を無くすためにも、70年前の戦争を「正しい」「正しくなかった」と「何も考えず」に叫ぶ前に議論すべきだと思います。

最後に僕が印象に残った文章を引用します。
「しばしば、平和主義者は「軍備をなくそう」「軍隊がなくなれば戦争もなくなる」と言う。「武器を買うお金を福祉にまわそう」という意見もしばしば聞かれる。(中略)しかしそもそも人類はまず先に兵器を生み出して、それから戦争というものを始めたわけではない。「争い」や「戦い」がまず先にあって、その中から兵器が作られたのである」