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狐たちの夜 読了

久々に面白い小説を読んだ。

狐たちの夜。

書いたのは鷲は舞い降りたで有名なヒギンズ。

 

来るべき反攻作戦ノルマンディ上陸。
その上陸作戦の演習タイガーが行なわれた。
しかしドイツのSボートによる攻撃により演習に参加していた数隻の上陸用舟艇が沈没し多数の兵員が失われた。
その中には3人の、ノルマンディ上陸作戦の存在を知る高級将校が含まれていた。
その内2人は溺死体として流れ着いたのが見つかるも、最後の1人は行方不明。
その人物はアメリカ陸軍の工兵大佐でノルマンディの地形を知る人物として作戦には絶対不可欠の人間だったし、ドイツの手に渡ればノルマンディ上陸の情報がバレてしまう。
そんな時、フランスの近くに存在するドイツ占領下のイギリス領チャンネル諸島レジスタンスから連絡が入る。
ジャージィ島に大佐が流れ着いたと。
それを知ったイギリスのSOEは完璧なドイツ語を話せる優秀な工作員である マーティノウ、イギリス陸軍大佐をSS大佐として送り込む事に。
少し前SOEはパリで殺害した男……その男はSS少佐でありながらヒムラー直属を意味する「ライヒスフューラーSS」の袖章を身につけヒムラー長官の署名とヒトラー連署が入った書類を持つSDの人間だった。
それを使いSDのRFSS「マックス・フォーゲルSS大佐」なる人物を作り上げたのだった。
そしてジャージィ島に幼い頃何度か行っていて、島に知り合いもいるイギリス人女性看護師をフォーゲルのイギリス軍人としての証明者するため愛人という肩書きで送り込む事となった。

しかしジャージィ島に行こうとしているのは連合軍の工作員だけではなかった。
砂漠の狐」ことB軍集団司令官ロンメル元帥は来るべき「その時」…ヒトラーを亡き者にするヴァルキューレ作戦の打ち合わせのため他の反ヒトラー派の将官と会う必要があった。
しかしそんな事をしたら、SSやSDに勘付かれてしまう。
そこで、たまたま大西洋防壁を視察していた時にモノマネがうまい降下猟兵エーリヒ・ベルガーを見つけたのである。
彼を「ロンメル元帥」に仕立て上げ、ジャージィ島へ視察に行かせる間に本物のロンメルは会合に向かう。
練習と称してまずはノルマンディの視察を何度か行ない自信を持つ降下猟兵「エーリヒ・ベルガー」
実は彼、そのものも「偽者」だった。
本当の彼はユダヤ人の俳優「ハイニ・バウム」で、仕事から帰ってきたらゲシュタポが家に来て両親を連行するところだった。
彼は恐怖で逃亡し、逃亡先のキールでたまたま爆撃後に両親と子供という3人の家族連れの死体を見つけた彼は父親の身分を手に入れて「1番の隠れ場所」である軍に入隊したのだった。
そして、偽者のSS大佐に化けたイギリス陸軍大佐、彼の愛人に化けたSOEの女、ドイツ人に化け、さらにロンメル元帥に化けているという2重に化けたユダヤ人俳優の降下猟兵
この3人が一堂に集まる「狐たちの夜」が始まろうとしていた。
そして現地にはゲシュタポ国防軍兵士が多数。
という話、ヒギンズは鷲は舞い降りた以来に読んだけど負けず劣らずの面白さだった!
SS大佐でヒムラー直属の肩書きとヒトラーヒムラーの署名の書類は水戸黄門の印籠のごとく皆が平伏す。
そしてロンメル元帥という肩書きにも皆が平伏す。
それらを警察官としての勘が働き不信に思いだすゲシュタポ隊員。
一人一人が文章なんだけど、本当にその姿が目に浮かぶような映画のような面白さがあって飽きがなく一気に読めた。
映画でいうと、真っ先に思い浮かんだのはタランティーノジャッキー・ブラウン

ここはイングロリアスバスターズだろ、と言う人もいるかもしれないが、何故かジャッキー・ブラウンだった笑

 

ヒギンズが別名義で書いた「ウィンザー公掠奪」と「ヴァルハラ最終司令」も注文したから、それまで「HHhH」か最近手に入れたシュパイデル中将の「戦力なき戦い」でも読んでるかな。

 

狐たちの夜 (ハヤカワ文庫NV)

狐たちの夜 (ハヤカワ文庫NV)